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生産者に触れることで、「伝えなければ」という想いが湧きあがる

photo essay

ベーカリーシェフの集い

小雨舞う9月初旬の月曜日、弊社が今年から取り組みはじめた自社栽培のピーナッツ圃場と工場を見学に、10名のお客様が千葉県旭市にいらっしゃいました。
彼らは都内や近郊で名を馳せる、いまをときめくベーカリーのシェフの面々。
今回の集いのきっかけとなっていただいた練馬nukumukuの与儀シェフご夫妻をはじめ、代々木上原カタネベーカリーの片根シェフ、 吉祥寺ダンディゾンの木村シェフ、高田馬場に新規オープン準備中のベーカリーFLAT中島シェフ、八王子チクテベーカリーの北村シェフ、代官山GARDEN HOUSE CRAFTSの村口シェフ、東京新丸ビル内ポワンエリーニュのディレクター和田さん、同じくポワンエリーニュの上野シェフご夫妻と……、錚々たる顔ぶれです(順不同)。

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まずは、自社栽培のピーナッツ圃場のうち、もう収穫期を迎えつつある早蒔きの畑へと向かいました。
上の写真、抜きたての落花生の房についた土をご覧いただければわかりやすいかと思うのですが、千葉県房総半島北東部に広がる九十九里浜にほど近いこのあたりは、海からの恵みであるミネラル分を多く含む、ピーナッツの栽培に適した砂まじりの肥沃な土壌。その土から吸収される微量栄養素のビタミンやミネラルは、ピーナッツを通してそのまま私たちの口へと運ばれます。 お話ついでに続けると、「脂質50%」と、ピーナッツに非常に高い割合で含まれている植物性油脂の成分には、悪玉コレステロールを減らす役割も持つ良質のオレイン酸などが多く含有。 オリーブオイルにも引けを取らない、知られざるヘルシーな食材なんです。

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畑にはすでに、ピーナッツひとすじ、弊社のベテランスタッフたちが待機してくれていました。明け方、激しい雨が地面を叩いたこの日でしたが、手掘りなら収穫可能ということで、シェフのみなさん、最初はおぼつかない足取りで圃場のなかへ入っていきましたが、すぐに慣れたようです。鬱蒼と茂っていた落花生の緑の葉々が、茎の下の方からだんだん枯れはじめたら、収穫し頃の合図。地面から空に広がる無数の茎の根元を両手で抱え、重力に逆らって真上に引き抜くと……。地中にたくさんのサヤをつけたピーナッツがあらわれました。

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「すご~い!」
「楽しぃ~」
「きもちぃ~!」

「こんな風に実をつけているとは知らなかった」とか、「写真では見たことあったけど、実際に目にするのは初めて」など、シェフのみなさんに多くの興味を示していただけたみたいで、私たちも嬉しい限りです。子供の頃、幼稚園の芋掘りなどで体験した、たわわに実った自然からの恵みが、土のなかからたくさん目の前に姿をあらわすときの、あの得も言われぬ感動。大人になったいまでも、その感覚は私たちの心に響いてくるんでしょうね。

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ご自身で収穫された生のピーナッツと、畑の隅っこに植えられていた、ちょうどいまの季節に旬を迎えている冬瓜(トウガン)をお土産に。シェフのみなさんが厨房に戻ったら、どんな料理ができあがるのか、想像すると楽しみです。

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圃場の次は、実際Bocchiのピーナッツペーストがつくられている弊社の食品工場へ向かいました。
「畑からテーブルまで」をキャッチフレーズに、今年から素材の栽培から加工までを取り組みはじめたBocchiですが、実際、落花生の収穫からピーナッツペーストが製品になるまで、実に20以上の行程を経ます。畑で収穫、乾燥させてから、洗浄、選別、異物除去などを入念に繰り返し、サヤから外され剥き身になるところまでは、もうひとつの工場で処理しています。土莢(どさや=泥つきのからつき落花生)からはものすごい土埃が発生するので、こちらの加工工場と場所を分けることで品質管理が成されています。
こちらの工場では、行程の最終段階であるピーナッツペースト用生豆の焙煎から、渋皮剥き、スタッフによる目視選別、ペースト化、ボトリングまでがおこなわれています。行程に沿い、各所で説明をおこないながら工場のなかを見学していただきました。

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工場見学が終わってからは、そのあいだに茹でていた、さっき穫ったばかりの塩茹でピーナッツの試食を。 「これは初めて食べるな~」「味が濃いね~」と、手が止まりません。 この食べ方は、ピーナッツの旬の時期1カ月くらいのあいだだけの、生産地ならではの特権です。

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「あとでビールと一緒に食べたいな」というどなたかのひと言で、今日のピーナッツ圃場と工場の見学会はおしまい。お昼は、今回ホストをつとめた弊社常務の自宅でBBQランチを。せっかく海沿いの街に来ていただいたのだからと、地物の海鮮でおもてなしをしました。美味しそうな写真が撮れたので、ちょっとだけ載せておこうと思います。ベーカリーシェフの集まり。もちろん、美味しいパンもどこからともなく登場しましたよ。

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BBQランチを楽しみながら、少しずつではありますがシェフのみなさんたちにお話をうかがいました。
年に一度は長期で海外に出て、その土地固有の文化に触れたり、日常では味わえないゆったりとした時間のなかで次へのインスピレーションを模索するシェフ。そして、自分たちが生み出すパンの素材が育てられている土地ならどこへでも出かけて行く行動派のシェフたちは数知れず。

――ベーカリーのシェフとして、何ができるのか? 直接生産者に触れることで、自分たちが現地で体験したこと、うかがった想いなどをダイレクトにお客様に伝えられるというのが、生産地を歩く最大のメリット。持ち帰って伝えなければ……という使命みたいなものが自然と湧きあがってくる。そして、現地の土を踏むことで、生産者の方々が丹誠込めて育てた素材や製品に、大きな愛着が湧いてくるんです――

とは、与儀シェフご夫妻から会話のなかで紡がれた言葉の数々。リラックスした他愛もない話の途中、食材やパンづくりにその話題が向けられると、その場がすぅーと、ピリリと締まる。シェフのみなさんのパンづくりに対する情熱と真摯な想い、そして探究心が垣間見れました。 生産者とエンドユーザーをさまざまな工夫と味覚でつないでくれる、ベーカリーシェフのみなさんのこれからの取り組み、Bocchiも陰ながら力強く応援していきたいと思っています。

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