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みんなでつなぐ国産小麦のバトン『新麦コレクション』

Report

新麦コレクション2015

まずはみなさん、『新麦コレクション』(http://mugikore.net/)って、ご存知ですか?
これは、その年に収穫された国産小麦をいち早く製粉して、ワインのヌーヴォーを祝うように、挽きたての香り豊かな新麦パンの美味しさを語り合い、自然の恵みに感謝する場をみんなでつくっていこうとするプロジェクトです。生産者からベーカリー、そしてパンを食べる私たちエンドユーザーまで、小麦のストーリーをつなげ、それぞれがお互いにリスペクトを込めて「美味しいね」や「ありがとう」の気持ちを伝え合えれば、日本のパン、ひいては日本の食はきっと良い方向に向かうはず――。そんな想いが込められながら、今年2015年の夏にキックオフしました。

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《以前から構想は頭の中にありました。小麦農家さんを歩くたびに、良い小麦粉をつくろうと石臼の前で奮闘している……、そんな姿を見たとき、こういった努力をされている多くの方々の存在を、実際にパンを消費しているみなさんにも知って欲しいし、それを広めたい……。そう思ったんです。ボクが裏方で橋渡しをしながら、点を線でつなげて、日本中みんなで共有できればと。で、昨年(2014年)、『とかち小麦ヌーヴォー』という新麦を祝う試みが北海道で始まって、ぼくも少しお手伝いをさせていただきました。それに確かな手応えを感じて、では「日本全国に範囲を広げてみよう」と始めたのが、この新麦コレクションなんです》

と語るのは、『パンの雑誌』など、日本のパンの“いま”を取り巻く世界を発信する『パンラボ』を主宰し、みずからを“ブレッドギーク”とさえ名乗るパンライター、池田浩明さん。池田さん曰く、パンの世界ではいま、素材中心の考え方へと価値が大きくシフトしつつあると言います。このようなシフトを「テロワールファースト」(=地域の素材第一主義)と呼んだりします。

“テロワールファーストを合言葉に、生産者からエンドユーザーまでを国産小麦のバトンでつなぎ、自然の恵みとお互いの努力に感謝することで、みんながハッピーになれる”――。

上の文章で使われている「国産小麦」という単語は、あらゆる国産の農産物に置き換えられると思います。Bocchiのピーナッツも千葉県九十九里の土壌と風土で育まれた、日本を代表する農産物。新麦コレクションというプロジェクトが標榜するこの考え方に深い敬意を表しながら、キックオフイベントをきっかけに、この活動の仲間入りをさせていただきつつ、微力ながらスタッフとしてサポートさせていただくことになったのが、今回このイベントに参加した経緯なわけです。

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前置きがとっても長くなってしまいましたが、今回Bocchiのピーナッツは、ベーカリーシェフたちの新麦パンの“おとも”として、いろんな場所で、またいろんな形で登場させていただきました。果たして名脇役を演じることはできたかな?!

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さて、10/5(月)~18(日)の2週間、新麦コレクション2015の会期中、都内各所でさまざまな催しがありました。そのなかでも、やはりハイライトは、17(土)のLOG ROAD代官山GARDEN HOUSE CRAFTSでおこなわれた『収穫祭2015』の『新麦パーティ販売会』と『新麦パーティEATLIVE!』(試食会)ではないでしょうか。

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前者は、GARDEN HOUSE CRAFTS屋外デッキオープンスペースを2ゾーン、3回の時間軸に分けて、全国のテロワールファーストなベーカリーさんたちばかりを集めたパン・テントが出現(!)、販売会をおこないました。僕らが会場に向かったのが、収穫祭オープン目前の10am前。しかしすでに、テントの前には、挽きたて新麦で焼かれたパンをひと足先に祝おうと、列に並ぶ熱心なお客様が数多くいらっしゃいました。贅沢にも、各回、各ゾーンで自慢の新麦パンを並べるベーカリーさんは、それぞれ1回こっきり。南は沖縄、北は北海道まで、総じて計21店舗が名を連ねました。そして、お客様の列はというと、回を重ねるごとに見る見る長くなっていったのが印象的でした。

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そして、今回はBocchiは、新麦コレクション会場のGARDEN HOUSE CRAFTS 2Fの屋上デッキでおこなわれた『新麦パーティEATLIVE!』にて、美味しいパンのおともとして試食会をおこなわせていただきました。
ちなみに、この『新麦パーティEATLIVE!』とは、全国8つの生産地で真摯に小麦と向き合う農家さんや製粉会社さんと、彼らとつながりのあるトップベイカー8名がタッグを組んだプレゼンテーション。それぞれの新麦の個性を、それぞれのシェフの技とセンスで磨きあげたパンで媒介し、つくり手のストーリーとともに味わう、新麦パンの祝賀パーティなんです!そう、テロワールファーストなコンセプトバリバリの、本イベントのハイライトでしょ!?

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さて、パーティの幕が開かれると、みなさん列になって順番に、それぞれのチームのパンをお皿に盛っていきました。パンに合う美味しいワインやコーヒーも用意されていましたよ。そして、ひと通りパンが行き渡ると、 熊本の小麦農家「ろのわ」東さんによる「乾杯」ならぬ「パン杯」(!)の音頭で、今年の新麦の収穫を会場にいたみなさん全員でお祝いしました。

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さてさて、この『新麦パーティEATLIVE!』には、どんな新麦パンたちがお目見えしたかと言いますと……

北海道・前田農産さんと横浜元町ブラフベーカリー栄徳シェフのコンビは、さっくり感や香ばしさが特徴で、主張が優しく味を加えていきやすい“はるきらり”という品種で、こっくりなミルクフランスを。

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三重・素材舎さんと代々木上原カタネベーカリー片根シェフのコンビは、驚くべきモチモチ感を持った“桑名もち小麦”という品種で、モチモチあんぱんを。

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埼玉・前田食品さんと参宮橋タルイベーカリー樽井シェフのコンビは、本イベントのわずか10日前に挽かれたという“国産ふらんす”という品種を使ったフォカッチャを。

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山梨北杜で栽培された小麦を神奈川にある障害者施設の石臼で挽く“ぼくらの小麦”と、代々木公園365日杉窪シェフがタッグを組んだ“ぼくらのパン”は、小麦の風味をより引き出すために無発酵という並外れた方法論で。

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神奈川・湘南小麦と駒場東大前ル・ルソール清水シェフのコンビは、湘南小麦と相性抜群の地元相模湾の恵みしらすを連想させる風味を持つアンチョビバターが香るエピを。

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滋賀・大地堂廣瀬さんと練馬のパーラー江古田原田シェフのコンビは、日本では生産不可能とされていた古来種“ディンケル小麦”を使って、その麦の粒もふんだんに加えた香ばしいパンを。

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熊本・ろのわさんと大阪パンデュース米山シェフのコンビは、オーガニック栽培の“ミナミノカオリ”という品種を使って、パンとパンケーキの中間のようなパン「みなみちゃんのパンケーキ」を。

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最後に、北海道・江別製粉さんと銀座ブーランジェリーレカン割田シェフのコンビは、北海道小麦を代表する品種“はるゆたか”30周年バゲットの「2015はるゆたかポーリッシュ」を。そして、ホットワインをイメージした、山梨のカベルネ・ソーヴィニョンと銀座のハチミツ、みかんを入れた“春よ恋”という品種を使ったスパイシーなパンを。さらにこちら、前述の滋賀・大地堂廣瀬さんの“ディンケル小麦”の粒とチーズ、タマネギのソテー、そしてBocchiのピーナッツ(!)を混ぜ込んで焼きあげた“キタノカオリ”という品種を使ったリゾットパンを生み出してくれました。

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しかし、ベーカリーの名前はそれぞれ耳馴染みがあるけど、小麦の名前まではマニアック過ぎる……! と思った方のほうが多いと思いますが、そこをあえて今回意識させるのが新麦コレクションの狙い(だと解釈しています)。こういう地道な活動が、エンドユーザーの意識を素材や生産現場に向かわせるきっかけになるのだと思います。

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Bocchiは、出入口にほど近い場所に小さなブースを設けて、ピーナッツペーストの試食をおこなわせていただきました。「facebookなんかを見て、ずっと試してみたいと思ってたんですよ~」など、嬉しいお言葉もいただきながら、ピーナッツペーストを試していただきました。試食用のパンは、江別製粉さんと銀座ブーランジェリーレカン割田シェフが今回生み出した「2015はるゆたかポーリッシュ」。本当に贅沢な引き立て役をご提供いただきました。ありがとうございます。

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そして、試食で気に入っていただけたお客様にはその場でお持ち帰りいただけるよう、会場のGARDEN HOUSE CRAFTSのテーブルにもペーストのボトルを置かせていただきました。また、GARDEN HOUSE CRAFTS村口ベーカリーシェフにもご協力いただき、新豆を使ったパンやスイーツもご提供いただきましたよ。ありがとうございます!

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朝ぱらついたいた雨もお昼にはすっかりあがって、とっても過ごしやすい秋の週末を、新麦パン、そして会場にいらっしゃってくれたみなさんと一緒に過ごせた、とっても有意義な時間でした。予想以上の反響と来場者数で、また一歩、生産者とエンドユーザーがちょっぴり近づけたと思うと、この場でその瞬間にいれて本当にラッキーだったと思います。最後に、このチャンスを与えていただいた、パンラボ池田さんにも感謝の言葉を。ありがとうございます!

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私たちBocchiも、まだまだできることはたくさんあるはず。これからも意識の高い農家さんやベーカーさんと交流を深めながら、より良き日本の食のかたち、つくっていければと思っています。

みなさんも素晴らしき収穫の秋を、どうぞご堪能ください!

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